交通事故と高次脳機能障害とは

交通事故に遭って頭部をぶつけるなどすると、高次脳機能障害と呼ばれる後遺障害を発症する場合があります。

損害賠償上の「高次脳機能障害」とは、脳外傷に起因して(脳血管障害〔脳溢血や脳梗塞〕・非器質性精神障害を除外する)発症する人格障害(認知障害・注意障害・失語・失行・失認・遂行機能障害)や人格障害(情動障害)をいいます。


交通事故発生後に医療機関により撮影されたCTやMRIの画像を所見の上で、明確な脳の損傷が発見されない場合においても、被害者の記憶力や注意力の低下が生じることもあります。

 

しかし、画像のよる所見が見られないと、客観的に障害の判定をすることが困難になるため、自賠責の等級認定であまり考慮されず、低い等級認定になってしまうことがあります

これでは本当の意味での被害者の救済はなされないのではないでしょうか。


交通事故によって生じる障害には、肉体的なものに限らず、精神的側面にも影響が生じる場合があります。

診断名として、「脳挫傷後遺症」「びまん性軸策損傷後遺症」などとされる場合が多い精神的な障害は、被害者の仕事や日常生活にさまざまな支障が生じることがあります。


交通事故に遭われた人の中には、突然記憶力や集中力が低下してしまったり、感情のコントロールができなくなったりということがあります。

また、感情の起伏が激しく怒りっぽくなったなど、「最近以前からすると少し変わったな」とお感じになられることがあります。

そのような場合、脳に傷害を負っている可能性がありますので、お早めにご相談下さい。


高次脳機能障害には、次のような問題があります。

①高次脳機能障害は目に見えないため、医療者、家族も障害の理解が悪い。

②病識欠如のため、本人も正常と思っており、職場や学校へ戻ってもうまくいかない。

③そのため、本人も家族も戸惑い、家庭生活・社会生活に支障が生じる。

④相談できるところがない。


当事務所では、高次脳機能障害の相談においては、次のような点に注意をして行っています。

①交通事故証明書の確認と初期診断書・経過診断書の提出

②頭部受傷の有無と程度(事故状況・搭乗車両の損壊の程度の確認)

③受傷直後の意識障害の存否・長さの確認

④画像の取り付け・神経心理学的検査の有無と検査している場合の検査結果

⑤本人の他に親族からの説明を求める(どのような不安を抱えているのか。困っていることは何か)

 

自賠責法における高次脳機能障害の認定

平成13年1月から運用されている自動車損害賠償法に基づく障害認定を適正に行うためのシステムによると、次の4点に整理されます。

①「脳外傷による高次脳機能障害」という概念で、脳外傷の急性期に始まり、多少軽減しながら慢性期へと続く、全般的な認知障害と人格変化等を特徴とする臨床像を整理。

 

②「脳外傷による高次脳機能障害」を、医学的客観的に判断するためには、意識障害の有無、その程度、持続時間の把握と、外傷後ほぼ3ヶ月以内に進行する脳室拡大等の画像資料上の所見が重要。

意識障害の有無・程度が判然としていない場合には、医療機関に対して照会様式「頭部外傷後の意識障害についての所見」を送付し、同時に初診時からの経時的な画像資料の取付を行い、脳室拡大・脳萎縮等の有無を確認することが必要と提言。

 

③診療医に対する照会様式「脳外傷による精神症状等についての具体的な所見」を新設するとともに、被害者側への照会様式「日常生活状況報告表」を改訂。

 

④「脳外傷による高次脳機能障害」を認定するために高次脳機能障害審査会を自動車保険料率算定会(当時。現在は損害保険料率算定機構)に新設。

 

等級 認定基準
1級1号
(要介護)
身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
2級1号
(要介護)
著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
3級3号 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級2号 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級4号 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの


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