5 賠償金額決定の3基準

① 損害賠償金額の決定には以下の3つの基準がある。

  ア 自賠責保険の基準
  イ 任意保険の基準
  ウ 裁判基準
 適正な補償を受けるためにも,この3つの基準は十分理解しておく必要がある。以下では各基準についてそれぞれ説明をする。


② 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の基準

 自賠責保険は,車の所有者全てが加入する強制保険である。
 自賠責保険の適用は人身事故に限るが,被害者の最低補償を目的として作られた保険。平成14年4月1日以降の事故につき,死亡保険金3000万円,傷害保険金120万円,後遺障害の別表第1の第1級4000万円を上限とする。

 自賠責保険の基準を使って賠償額を計算すると3つの基準の中で最も低額になることが多い。ただし,被害者に重大な過失(7割以上)がない限り減額されない。自賠責請求をした後,差額を請求することは可能である。

 バイクの場合は,自賠責保険に加入していない場合もあるので注意が必要である。この場合は,政府補償事業(自賠責と同じ基準)による賠償となる。


③ 任意保険の基準

 任意保険は,自賠責保険とは異なり加入義務のない保険。
 自賠責保険では対象外である物損事故にも適応することが可能。

 任意保険の基準は一般的に自賠責保険よりも高いが,裁判所の基準よりも低額。従来は,任意保険会社共通の基準があり,上限以外は自賠責基準との差はあまりなく,任意保険の支払提示額は裁判基準よりは相当低いという実情であった。しかし,任意保険会社共通の基準を設けることは独占禁止法等の関係で問題となり,各保険会社が独自の基準を設けるようになった。それでも,相変わらず裁判基準よりは相当程度低額であることは疑いようがない。法律家に相談するメリットは裁判基準での交渉。

 自賠責保険(下積み保険)の不足分を填補するもので,自賠責保険との大きな違いは,
  ア 保険金額の上限が契約で決められ,
  イ 被害者が被保険者の父母・配偶者・子・従業員等の場合や,
  ウ 故意による事故の場合などは保険金は支払わないとの約款(免責約款)がついていること。


④ 裁判の基準

 裁判の基準とは,過去の判例を踏まえて弁護士会が作成した基準。裁判の基準で賠償金を計算した場合,ほとんどの場合で自賠責保険の基準や任意保険の基準を元に計算した金額よりも高額になる。

 問題が長引くのは嫌だから早く終わらせたい」「専門家の保険会社が言うことだから正しいのではないか」という気持ちの相談者が多いが,実際はそうではないことを知るべきで,法律家が裁判基準による支払いを求めて交渉することにメリットがある。

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