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症状固定後の治療費・将来の治療費

1 原則は否定されます

損害賠償請求が,原状回復を基本とし,原状に回復するための手段を金銭的に評価するものである以上,事故と相当因果関係の認められる治療行為とは,原状に回復するために必要かつ相当な治療行為をいい,症状が固定し,それ以上治療を続けても改善の効果が表れないと判断された場合は,原状に回復するための相当な治療行為とはいえないので,原則として治療費の支払いは認められません。


2 例外

例外として認められる場合は,症状の内容とか程度,治療の内容によって,現状を維持し症状の悪化を防止するためには不可欠な治療であるという必要性を立証する必要があります。


3 裁判例

① 名古屋高裁平成2年7月25日判決・判時1376号69頁
右大腿部切断の症状固定後に,義足を作成するための通院,再入院,通院をした場合の治療費を認めたケース

② 大阪地裁平成12年7月24日判決・交民33巻4号1213頁
植物状態の高校生につき,症状固定後の個室の使用が必要であるとして,症状固定から退院までの部屋代を認めたケース

③ さいたま地裁平成21年2月25日判決・交民42巻1号218頁
四肢麻痺,意識障害等別表第1の1級1号の被害者につき,意思疎通が困難で,日常生活には全介助を要すること,拘縮を防ぐためリハビリテーションが欠かせず,在宅介護への移行のため,自宅改修,導尿や経管栄養の技術を家族が習得するひつようがあったこと等から,症状固定後も症状悪化を防ぎ,在宅介護への移行準備として入院治療費が必要であったとして,症状固定後の治療費を認めたケース


4 将来治療費

 (1) 後遺障害等でこのような治療行為が将来にわたって行われる必要があれば「将来治療費」として損害が認められます。
「将来治療費」には,症状悪化を防ぐための医療行為のみならず,将来一定期間経過後に必要となることが予想される手術費用等も含まれます。将来の治療費が認められる場合には,治療費の他に将来の付添看護料,入院雑費,交通費等も認められることがあります。この点は,医師の証明書等で将来の支出の必要性と費用支出の確実性について立証する必要があります。
なお,「将来治療費」については,治療費が必要な期間に応じて中間利息を控除されます。

(2) 裁判例

① 大阪地裁平成14年3月27日判決・自保ジ1466号16頁
左股関節用廃の大学生につき,10年毎の将来6回分の人工骨頭置換術費を認め,各2ヶ月分の入院費用,入院雑費を中間利息控除の上認めたケース

② 大阪高裁平成19年4月26日判決・判時1988号16頁
高次脳機能障害の被害者(小学生)につき,日常生活に支障を来しており,その治療及びリハビリテーションにおいて,臨床心理士等専門職の介入が必要であるとして,治療費・通院交通費及びカウンセリングの費用を平均余命まで認めたケース


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