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新車への買換要求

自動車事故が起きた場合、新車への買い替えを要求されることがままあります。しかし、保険会社は、このような請求には応じません。事故当時の事故車両の時価額が填補の対象になっているからです。裁判でも、時価額に限定されています。

 

最高裁も、
「いわゆる中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は、原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によって定めるべきである」
としています(最二小昭和49年4月15日判決・民集28巻3号385頁)。
 
さらに、この価額につき、「課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは、加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり、許されないものというべきである。」とも判示しています。

 


したがって、請求されている側であれば、買い替え要求に応じる必要はありません。
 
ただし、事故相手に新車として自動車をどうしても買い換えたいということであれば、事故車の時価総額と新車の購入代金の差額を自己負担することを合意することは可能です。このような場合法的に過度な要求になりやすく、合意の有無、合意の法的効力をめぐって裁判になることがあり注意が必要です。
 
この点に関し、以下のような裁判例があります。

① 東京地判平成3年8月22日交民24巻4号928頁
日産インフィニティの新車779万8270円の買い替え合意を求めた事案ですが、念書内容は損害賠償の原則に合致しないとして買い換えを否定しました。念書は事故当日の夜間に作成されたものでした。

② 東京地判平成7年2月21日交民28巻1号223頁
1585万円のベンツの合意による新車買い替え費用を求めた事例ですが、暴利行為として公序良俗に違反するとしています。これは、事故発生直後作成された念書であり、被告の主張によれば、原告の従業員らは、被告を取り囲み被告の畏怖困惑に乗じて書面に署名させたというものでした。

③ 大阪地判平成5年6月3日交民26巻3号727頁
覚書作成が本件事故から5、6時間後のある程度動揺した心理状態が継続している時期に作成されましたが、交渉時間は2時間程度でそれほど長時間ではないこと、交渉には父親も同席していること、大声を出して威圧した事実がないこと、自分なりに計算した上、覚書を被告自らが作成していることを理由に和解契約成立を認めた事例です。

④ 大阪地判平成5年3月9日自保ジャーナル平成5年9月2日号
交渉過程の中で新車買い替えと下取り価額の差額70万円であるという合意をしましたが、後日差額が137万5537円となったという事案において、70万円の範囲で合意成立を認めた事例です。

 


修理が相当な場合適正な修理相当額が認められますが、修理費が、車両時価額に買い替え諸費用を加えた金額を上回る場合には、経済的全損となり買い替え差額が認められます。つまり、買い替え差額を上回る修理代は認められません。

この点、前掲最二小昭和49年4月15日判決は、
「交通事故により自動車が損傷を被った場合において、被害車輛の所有者が、これを売却し、事故当時におけるその価格と売却代金との差額を事故と相当因果関係のある損害として加害者に対し請求しうるのは、被害車輛が事故によって、物理的又は経済的に修理不能と認められる状態になったときのほか、被害車輛の所有者においてその買替えをすることが社会通念上相当と認められるときをも含むものと解すべきである」
としています。

 


対物補償が無制限という内容であっても、法律上の損害賠償責任の範囲内での補償しかなされません。この場合、相手の車両の修理代を全額填補しようとするときは、対物超過特約を結んでおく必要があります。

これに対し自車の車両の新車買い換えを填補するためには、車両新価保険特約を付ける必要がありますこの特約があっても、車の主要構造部分に損傷を受け、かつ損害額が契約金額の50%以上になることが必要ですので、加入するにあたっては、保険の特約内容をよく検討した上で、加入すべきです。



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