付添看護費

1 付添費用

(1) 入院付添費

職業付添人は実費全額
近親者付添人は1日に6500円(赤い本),5500円~7000円(青い本)

 

但し,症状の程度により,また,被害者が幼児,児童である場合には1割から3割の範囲で増額を考慮することがあるとされています(赤い本)。

 

医師の指示,あるいは受傷の部位,程度,被害者の年齢などから付添が必要であれば,相当な限度で認められます(青い本)。
完全看護を実施している医療機関においては,付添の必要性を医師が出してくれないことがあります。完全看護が取られていても,人員態勢の限界があり,重傷の場合,介護が必要な現実があることから付添費用を認める裁判例は多いので,裁判では,受傷の程度,あるいは年齢など,看護・介護が完全看護を前提としても不十分で不可欠であるという事情を立証していく必要があります。
 
近親者の付添看護については,実際は無償で行われていますので,現実の損害はないとも考えられますが,無償である理由は,あくまで親族の情宜,親族の特殊な関係に基づいて支払が行われていないだけなので,実際には経済的な不利益が発生しているとして損害賠償が認められています。
 
この点,最高裁昭和46年6月29日民集25巻4号650頁,判時636号28頁は,
「被害者が受傷により付添看護を必要とし,親子,配偶者などの近親者の付添看護を受けた場合には,現実に付添看護料の支払いをせずまたはその支払請求を受けていなくても,被害者は近親者の付添看護料相当額の損害を蒙ったものとして,加害者に対しその賠償請求をすることができるものと解するを相当とする。けだし,親子,配偶者などの近親者に身体の故障があるときに近親者がその身のまわりの世話をすることは肉親の情誼に出ることが多いことはもとよりであるが,それらの者の提供した労働はこれを金銭的に評価しえないものではなく,ただ,実際には両者の身分関係上その出捐を免れていることが多いだけで,このような場合には肉親たるの身分関係に基因する恩恵の効果を加害者にまで及ぼすべきものではなく,被害者は,近親者の付添看護料相当額の損害を蒙ったものとして,加害者に対してその賠償を請求することができるものと解すべきだからである。」としています。

 

(2) 通院付添費

症状または幼児等必要と認められる場合には被害者本人の損害として肯定される。
1日につき3300円(赤い本),3000円~4000円
但し,事情に応じて増額を考慮することができるとされています(赤い本)。

 

(3) 症状固定までの自宅付添費

医師の指示,あるいは受傷の部位,程度,被害者の年齢などから付添が必要であれば,相当な限度で認められることは前2者と同じです。
 

 

2 将来介護費

医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められます。
 
重度後遺障害の残存する施設入所中の被害者について,施設からの退所が見込まれるところ,在宅介護を前提とした将来的な介護計画等につき一応の主張立証がなされた場合は,在宅介護の蓋然性が否定される事情が存在しない以上,在宅介護の蓋然性を認めるのが相当であるとされており,施設退所の時期,施設の性格,被害者の状況,近親者の意向,被害者を受け入れる家庭の状況,在宅介護に向けた準備状況,在宅介護の可否に関する入所中の施設又は医師の判断等の判断要素について,具体的に主張立証し,将来の介護計画等を明らかにすることによって,在宅介護が可能であり,在宅介護の蓋然性が存在することを主張・立証する必要があるとされています(湯川浩昭「施設入所中の重度後遺障害者の損害算定に関する諸問題」平成20年度赤い本下巻137頁)。
 
職業付添人の場合は「実費」全額
裁判例では,幅があり,1万円~3万円台で認めている。

 

2万円を認めたもの(神戸地裁平成20年4月8日判決・自保ジ1762号,仙台地裁平成19年6月8日判決・自保ジ1737号3頁,但し,母親が67歳以後は2万5000円とする,さいたま地裁平成18年8月4日判決・自保ジ1682号)
高額な事例は,被害者の状態等から24時間態勢での監視が必要とされた事例(東京地裁平成22年3月26日判決・自保ジ1828号)や数時間毎の体位変換が必要であることなどから複数の職業付添人が必要であるとされた事例などから複数の職業付添人が必要であるとされた事例など,介護の負担が特に重い場合です。
 

 

近親者付添は常時介護を要する場合で,1日8000円(赤い本),1日8000円~9000円(青い本)
 
裁判例においては,被害者の後遺障害の内容・程度,被害者の要介護状態・日常生活の自立の程度,必要とされる介護の内容・程度,介護のために必要な時間,介護のために必要な時間,介護主体の属性(性別・年齢・健康状態),介護士用の家屋の建築,介護用具の使用等の要素を総合的に勘案し,介護主体にとっての肉体的・精神的負担の程度を具体的,実質的に検討して,将来介護費を算定しているとされています(山田智子「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題」平成23年版赤い本下巻11頁)。

 

期間は原則として平均余命までの間とし,中間利息を控除します。


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